①そもそも塩ビ板とは?

みなさんは「塩ビ板」というものはご存知でしょうか。プラスチック素材にはさまざまな種類のものがありますが、塩ビ板もプラスチック素材の一つです。
正式名称は「ポリ塩化ビニル樹脂 (ポリビニルクロライド樹脂)」といい、略して「塩ビ」と呼ばれることが多いです。
五大汎用樹脂の一つでもある塩ビ板は、強度・電気絶縁性・難燃性・耐候性・耐薬品性・安価などの長所を持ち、その特性から、建築資材や農業・工業用資材、医療用器材などをはじめ、ラップや食品用容器などの日用品に至るまでさまざまなものに使用されています。
今回はこの「塩ビ板」について、その特徴や価格など、詳しくご紹介していきたいと思います!

 

②塩ビ板とアクリル板の違い

先程お伝えしようにプラスチック素材には、塩ビをはじめ、「アクリル」、「ポリカーボネート」、「PET」などさまざまな種類のものがあります。
今回はその中でも、パーテーションやケースなどの素材として多く用いられ、塩ビ同様、五大汎用樹脂に分類される「アクリル」と比較をしながら、「塩ビ」の特徴について掘り下げていきたいと思います。
具体的には、強度重量耐熱温度価格について比較します。

強度は塩ビ板の方が高い

強度 塩ビ     >     アクリル

まずは強度に関してです。
樹脂素材の衝撃の強さの指標となる一つに、アイゾット衝撃値(単位はJ/m)というものがあります。これは樹脂素材の強度試験の一つである、アイゾット衝撃試験をもとに、試験片を破壊するために必要な力÷試験片の幅で出された値です。試験方法は、試験片の一端を固定して、振子型のハンマーで衝撃を与えた時の吸収エネルギーを計測します。この測定した値が大きければ、試験片が破壊される際に必要な力が大きいということとなり、衝撃強度も強いということになります。
そしてこのアイゾット衝撃値が、アクリルは 2 J/m なのに対して、塩ビは 2.2~109 J/m であり、
強度に関しては 塩ビアクリル ということが分かります。
塩ビ板はこの割れにくいという特徴を活かし、建築資材や農業・工業用資材、医療用器材、自動車や家電部品などさまざまなものに使用されています。

重さは塩ビ板の方が重い

重量 塩ビ     >     アクリル

次は重量についてです。
まずプラスチックの重量計算は、 縦(m) x 横(m) x 板厚さ(mm) x 比重= 重さ(kg) で算出します。
そのため、プラスチックの重さは比重で比較をすることができます。
塩ビ板の比重は 1.4」 に対して、アクリル板の比重は 「1.19」 なので、
重量は、 塩ビアクリル となります。
具体的な数字で比較してみたいと思います。
例えば、3mmの板厚で、3×6サイズの場合だと、
【塩ビ板】 縦 0.91m × 横 1.82m × 板厚さ 3mm × 比重 1.4 =約6.95 kg
【アクリル板】 縦 0.925m × 横 1.86m × 板厚さ 3mm × 比重 1.19 =約6.14 kg
となり、塩ビ板の方が重いことが分かります。
また、塩ビ板はプラスチック素材の中でも比較的比重が大きいです。

加工は塩ビ板の方がしやすい

加工 塩ビ     >     アクリル

次は加工に関してです。
塩ビ板は切削加工や溶接・接着、曲げ加工、成形など、加工全般がしやすい素材です。一方アクリル板はそれらの加工に加え、ミガキやレーザー加工機での加工など、可能な加工の種類は多いですが、加工のしやすさという点では、塩ビ板は耐熱温度が低く割れにくいため、一般的に塩ビ板の方が加工がしやすいと言われています。
このように塩ビ板は、加工のしやすさからも、実際にさまざまな業種の業務用資材から日用品まであらゆるシーンで多用されています。

透明度はアクリル板の方が高い

透明度 アクリル     >    塩ビ 

次に透明度に関してですが、透明度は塩ビ板よりもアクリル板の方が高いです。
まず、アクリル板の光線透過率は94%で一般ガラスよりも透過率が良く、 有機ガラスと呼ばれるなど、アクリル板の最大の特徴は、透明度の高さと言っていい程です。塩ビもアクリルと共に4大透明樹脂に分類されますが、その中でもアクリル板はダントツの透明度を持ち合わせており、塩ビ板はアクリル板と比べると透明度は少し劣ります。

耐熱温度はアクリル板の方が高い

耐熱温度 アクリル     >    塩ビ  

次は耐熱温度についてです。
まず、耐熱温度(連続使用温度)は素材元々が持つ強度をはじめとする物理的な性能を発揮できる限界の温度をいいます。
アクリルの耐熱温度は70〜90℃、塩ビは50~60℃です。アクリルは20℃程、塩ビは10℃程の加工温度の幅を持つため、比較的熱加工がしやすい素材です。
その中でも、上記でお伝えしたように塩ビ板は耐熱温度が低く割れにくいため、一般的に塩ビ板の方が加工しやすいと言われています。

耐熱温度に関してのコラムもあわせてチェックしてみて下さい☞アクリルの耐熱温度から特徴まで他の素材と合わせてご紹介!

価格は塩ビ板の方が安い

価格 アクリル     >     塩ビ

最後は価格についてです。
価格に関しては塩ビ板の方が安価です。対アクリル板に対してだけではなく、他の素材と比べても低価格で、加工もしやすい素材であることから、大量生産が必要な場合など幅広い分野で多用されている素材です。

価格に関しても素材や販売店別で比較検証したコラムがあるので是非合わせてチェックしてみて下さい!
アクリル専門店が教える!アクリル板・塩ビ・ポリカの値段を各店舗徹底比較

 

③塩ビ板の注意点

上述してきたように、素材それぞれで特徴は異なります。そのためもちろん取り扱う際の注意すべき点も素材によってさまざまです。
次は、塩ビ板を取り扱うにあたって注意する点についてお伝えしたいと思います。

長期間使用は劣化がしやすい

塩ビ板の特徴の一つに、優れた”耐久性””耐食性”があります。
塩ビ素材が使われている代表的なものの一つに、塩ビパイプがありますが、これは塩ビの耐久性・耐食性の高さから、土の中などに長期間埋設されても、金属管のように錆びたり、腐食したりすることがないためです。
しかし一方で”耐候性”に関しては、塩ビ板はそれほど優れてはいないため注意が必要です。太陽光や風雨、雪などを受けると、変形や変色などの劣化につながり、屋外での使用は不向きです。
このように”耐久性や耐食性”といった点においては、長期使用する製品の素材として適していると言えますが、”耐候性”に関わる長期間の使用は劣化の原因となります。

④塩ビ板を使用するオススメの状況

ここまで塩ビの特徴や取り扱う際の注意点などについてお伝えしてきました。
では、塩ビ板はどのような状況や場面での使用が適しているのでしょうか。
塩ビ板の性質を踏まえながら、塩ビ板が重用されているケースをいくつかご紹介したいと思います。

複雑な加工や重さ制限を伴う場合や価格を抑えたい時にオススメ

塩ビ板はさまざまな特徴を持ちますが、複雑な加工や重さ制限を伴う場合、価格を抑えたい場合などにも最適な素材です。
それぞれの場合において有益な塩ビ板の性質について触れながらご説明したいと思います。

 

まずは ”複雑な加工” の際に有用な性質についてです。
・難燃性
塩ビは樹脂の中でも、引火温度が391℃、着火温度が455℃で、引火・着火ともにしにくい、つまり難燃性の素材です。また延焼もしにくい性質です。
そのため⇨住宅建材や建設設備などに使用されています。

・耐油性・耐薬品性 
塩ビは酸やアルカリ、塩類をはじめ、ほとんどの無機薬品に対して耐薬品性を持っています。シンナーなどの一部を除いては有機溶剤にも溶けにくいです。
そのため⇨産業資材工業の生産設備であるプラントなどの排気ダクトやホースなどに利用されています。

・加工性良・成形性良
加工に関しても、切削加工、溶接 や接着、曲げ加工など、加工全般にわたって行いやすい素材です。
特に押出加工性が優れていることから
⇨フィルムやシート、パイプなどいろいろな用途に使われています。
耐熱温度もアクリルなどよりも低いため、
⇨射出成形以外にも、押出成形、ブロー成形、真空成形などいろいろな成形法が適用できます。これらの性質から、リサイクル素材としても注目されています。
※射出成形…溶かした樹脂を金型に流し込み、冷やして成形する方法。
※押出成形…型枠に入れられた素材に高圧を与え、押し出す(引っ張る)ことで成形する方法。
※ブロー成形…ペットボトルのような空洞の樹脂成形品の製造方法で、 溶かした樹脂の内側に空気を吹き込み、膨らませて成形する方法。
※真空成形…加熱し軟化させた樹脂シートを型の上に置き、シートと型の間の空気を吸引し、真空状態にすることで成形する方法。

 

次に ”重さ制限” を伴う場合です。
・比重 1.4
先程上記で述べたように、アクリル板と比べても塩ビは比重が大きい=重量が大きい素材です。
そのため、例えば大きさは同じサイズの板を使用したいけれど、アクリル板では重量が足らない、重たい板が必要、などといった重さの条件に制限がある場合には、アクリル板に代わって塩ビ板が使用されることもあります。
それに加えて、塩ビ板は素材に粘りがあるので割れや欠けには比較的強いといったことなどから、
⇨工場ラインカバーや機械カバーなどにも使用されています。

 

最後は、”価格を抑えたい” 場合です。
・低価格
先程もお伝えしたように、塩ビ板は樹脂素材の中でも安価な素材です。
アクリル板と比べると透明度に関しては少し劣りますが、強度や加工性にも優れた上で、”低価格”ということが塩ビ板が幅広い分野で重用されている理由でもあります。
そのため⇨大量生産が必要な場合にもおすすめです。

 

塩ビ板の製作事例

次に、塩ビ板を使用した製作事例をご紹介したいと思います。
ここまでお伝えしてきたように、塩ビ板は強度や加工性にも優れており、加工品にも使用されています。また、耐薬品性などにも優れているため、使用用途などによっては、塩ビ板でなければならないということもあります。

 

パーテーション
2,980円(税込)~ ※送料別途要
アクリル素材のパーテーションよりは透明度は劣りますが、価格が安価なため、大量発注などにおすすめです。

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昆虫ケース
8,800円(税込)※送料別途要
透明塩ビ板の6面体BOXで、上部はアクリル蝶番で開閉できる構造になっています。
昆虫を入れるので蓋の半分は、塩ビのフィルタープレートを使用しています。
オーダーメイド加工なら、ご希望のサイズでケースの製作が可能です!

 

 

⑤アクリルデポならご希望サイズの塩ビ板を購入可能!

塩ビ板は、優れた加工性や強度、低価格であること、またその他さまざまな長所や性質を持つことから、産業・工業用資材をはじめ、文房具などの日用品に至るまであらゆるシーン、分野において使用されています。

アクリルデポ
アクリルデポでは、もちろん塩ビ板もサイズ・カラー豊富に取り揃えております!
あまり馴染みがないかもしれませんが、塩ビ板もアクリル板同様、透明だけではなく、白色や黒色、カラー、マット、蛍光色、スモークなど、カラーバリエーションも豊富な素材です。


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