目次
ポリカーボネートとは
アクリルデポのコラムでも何度か取り上げてきた「ポリカーボネート」。
今回はそんなポリカーボネートの”強度”について詳しくご紹介したいと思います。
まずポリカーボネートとは、正式名称は「ポリカーボネート樹脂」、略して「ポリカ」と呼ばれるプラスチック素材です。
みなさんにも馴染みがあるアクリルやPETなど、数あるプラスチックの中でポリカーボネートは”エンジニアリングプラスチック(エンプラ)”に分類されます。
エンジニアリングプラスチック(エンプラ)とは、特に強度や耐熱性などの特定の性能が優れており、工業用部品として用いることができる信頼性の高い素材の分類上の名称のことを言います。
ポリカーボネートの特徴
ここからはポリカーボネートの特徴について、メリット・デメリット、両方の点からひとつずつご説明していきたいと思います。
ポリカーボネートの購入や加工をご検討中の方はぜひご参考下さい。
メリット
ポリカーボネートのメリットと言える特徴は比較的多くあります。
これから紹介するメリットが理由で、ポリカーボネートはさまざまなもの、場所で用いられています。
透明性が高い
まずは透明度の高さです。
エンプラに分類されるプラスチックでは唯一の透明色がある板で、透明色のポリカーボネートの全光線透過率は85%以上とガラスに迫る透明度と言われています。
透明度の高さからバイクのシールドなどにも使用されています。
耐久性が高い
次に耐久性の高さです。
ポリカーボネートの一番の特徴とも言えるのが「耐衝撃強度」の高さです。
たとえば耐衝撃性に関しては、ポリカーボネートはアクリルや塩ビなどに対して数倍の強度を有しており、この高い耐衝撃性から銃弾用シールドなどにも使われています。
樹脂素材の衝撃の強さの指標として、アイゾット衝撃値(単位はkJ/㎡)というものがあります。この値が大きければ、衝撃強度も強いということになります。
そしてこのアイゾット衝撃値が、たとえばアクリルは およそ19.6kJ/㎡、PETは 35kJ/㎡ なのに対して、ポリカーボネートは およそ780 kJ/㎡ にもなり、ポリカーボネートの強度の強さが分かるかと思います。
また「耐候性」に関しても優れた素材であり、ポリカーボネートの紫外線カット率は非常に高いと言われています。
紫外線の波長(紫外線域)は300~400nmで、その値域のポリカーボネート板(一般的な屋外使用向けのもの。一部例外あり)の透過率はほぼ0%に近い値です。
つまり、限りなく100%に近いレベルで紫外線をカットしているということが分かります。
※メーカーやグレードによっても異なるため、購入の際には確認が必要です。
燃えにくい
次に燃えにくさです。
ポリカーボネートは「自己消化性」を備えた素材です。
つまり火源がある間は燃えますが、火源がなくなれば燃え広がることなく、自ら消化します。
軽い
次に軽量であるということです。
プラスチックの重量は比重によって決まります。
重量計算は、[板厚mm]×[縦サイズ」×[横サイズ]×比重 という計算式になります。
ポリカーボネートの比重はアクリルと同じ1.2です。一方、同じプラスチックの塩ビやPETは1.4であり、ポリカーボネートの方が軽いことが分かります。
実際の数値で見てみると、例えば板厚が3mmでサイズ910mm×1820mmの場合、それぞれ下記重量となりまうs。
【ポリカーボネート】3mm×910mm×1820mm×1.2=約6kg
【塩ビ・PET】3mm×910mm×1820mm×1.4=約7kg
加工しやすい
最後は加工のしやすさです。
これに関してはポリカーボネート”板”としての加工のしやすさいうことではなく、”成形”に関しての柔軟性です。
アクリルデポで販売しているような”板”としての形状の加工に関してはアクリル板がダントツで加工性に優れており、
ポリカーボネートの場合は接着加工や曲げ加工などは不向きです。
一方で成型加工に関しては優れた素材であり、実際にヘルメットやヘルメットのシールド、自動車のヘッドライトカバーなどはこの方法で作られています。
デメリット
次はデメリットについてご紹介していきます。
どんな素材にも長所があれば、短所となる面もあります。
メリットだけを重要視して、いざ使用する際に問題が起きてしまってはいけません。
素材選びの際にはメリットだけを重視するのではなく、デメリットの部分も知った上で適当な素材を選択することが大切です。
薬品に弱い
まずは耐薬品性の低さです。
耐候性は優れているポリカーボネートですが、薬品に対しては脆弱な素材です。
薬品と言ってもさまざまな薬品がありますが、特に”有機溶剤”や”界面活性剤”のほとんどがクラックや白化などの劣化を引き起こしてしまいます。
そのため、掃除などをしようとしてアルカリ性の洗剤や、ガラスコーティング材などをかけて放置したままにすると、ひび割れや変形などを起こしてしまう可能性があります。
掃除方法については詳しくご紹介しているコラムがあるので、あわせてご覧下さい!
☞ポリカーボネートの掃除方法について!素材のプロが徹底解説
傷が着きやすい
メリットのところでもお伝えしたように衝撃強度に関しては高い数値をもつ素材ですが、”表面傷”に関しては非常に弱い素材です。
銃弾をもしのぐ強度を兼ね備えていながら、タオルなどで板の表面を強くこすっただけでも傷がついてしまいます。
そのため表面傷が目立ってしまうと困るような使用方法においては不向きな素材です。
掃除方法については詳しくご紹介しているコラムがあるので、あわせてご覧下さい!
☞ポリカーボネートの掃除方法について!素材のプロが徹底解説
ポリカーボネートを使用した身近な製品
上記でご説明したように、ポリカーボネートはメリットと言える特徴が多いため、私たちの身近なところでも多用されています。
実際にどのような理由からポリカーボネートが使われているのかを具体的な使用例とともにご説明していきたいと思います。
自動車のライトカバー
まずは自動車のライトのカバーです。
いわゆるヘッドライトやテールランプのレンズ部分にポリカーボネートが使用されています。
屋外で走行する自動車は日光や雨風などにさらされるため耐候性が必要となります。
また自動車の部品であるからにはある程度の強度が必要な上に、ライトの光がしっかりと通るように透明度が必要です。
このような点からポリカーボネートが使用されています。
スマホカバー
次はスマートフォンのカバーです。
みなさんの中でもスマホケースの購入の際には、デザイン性や価格などの他に、”強度”を気にしている方も多いのではないでしょうか。
あまり意識をしたことはないかもしれませんが、実はポリカーボネート製のスマホのケースも多く販売されています。
携帯が傷つかないように保護するためのケースとしての役割を担うため、高い衝撃強度を持つポリカーボネートが選ばれています。
また色付きタイプも多く販売されていますが、透明のものに関してはその透明度の高さも選ばれる理由の一つかと思います。
オートバイのヘルメット
次はヘルメットです。
オートバイのヘルメットをはじめ、作業用ヘルメットや防災用ヘルメットなどの素材にもポリカーボネートが使用されています。
ヘルメットにもABS樹脂製のものやPE樹脂製のものなど、さまざまなタイプがありそれぞれの使用状況などによって素材も異なります。
中でもポリカーボネート製のものはその特徴を活かして、「衝撃強度」や「耐候性」などが求められる屋外作業用や、バイク、防災用のヘルメットに多く用いられています。
まとめ
ここまでポリカーボネートの特徴について詳しくご説明し、具体的な使用用途についてもご紹介をしてきました。
ポリカーボネートをはじめ、プラスチックと言ってもさまざまな種類のものが存在し、それぞれに長所や短所があります。
プラスチックを購入する際や加工する際には、それぞれの特徴を理解し、使用目的にあわせた適切な素材を選ぶことが大切です。
素材のことならアクリルデポまでお問い合わせください!
今回ご紹介した「ポリカーボネート」はアクリルデポでご購入いただけます♪
もちろん”アクリル”や”塩ビ”、”PET”などポリカーボネート以外のプラスチック素材も豊富に取り揃えております!
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